Organic super market SunSan
「優しさの循環」を空間に編み込むーSunSanという“場”の設計 地方都市の一角、広い駐車場の奥に水平に伸びる低層の建築が現れる。控えでありながらも、どこか引力のある佇まい。外観は過度な主張を避け、木の外装と連続する開口によって、街に対して静かに開かれている。ここは、オーガニック食材を扱うスーパーマーケット「SunSan」である。今回、物件探しから建築設計施工までお手伝いさせていただきました。 本計画において設計の起点とんったのは、いわゆる商業施設としての効率や回遊性はもちろん、オーナーが掲げた明確なパーパスだった。―「お母さんを元気にすることで、家庭を幸せにする」。この言葉は特定の役割を果たすものではなく、日々を支え、誰かのために動き続けるすべての人への眼差しにもとれる。設計は、この“見えない主語”にどう寄り添うかという問いから始まった。 店内に入るとまず感じるのは、空間全体に行き渡る柔らかな光と素材の温度である。天井に沿って仕込まれた間接照明と、リズミカルに配置された小さなペンダントライトは、均質な明るさではなく、「陰影」をつくり出す。これは単なる演出ではなく、日常の延長にありながらも、ほんの少しだけ非日常へと感覚をずらすための装置である。什器は過度に規格化せず、木の質感を活かした造作とすることで商品一つひとつに手の痕跡を感じさせるスケールへと引き寄せた。籠に盛られた食材や手書きのプライスカードは、「一手間」を惜しまない姿勢の象徴であり、空間そのものがオーナーはじめ、ここで働くスタッフさん達の誠実さを語るメディアとなっている。また、売場の奥に設けられたカフェスペースは、この施設のもう一つの核である。長く連なる木の壁面と低く抑えられた照明計画により、外部の喧騒から切り離された穏やかな時間が流れる。ここでは、買い物という行為が目的ではなくなり、「自分を満たす」ための滞在へと意味が変わる。買うための場所から、整うための場所へ。—その転換こそが本計画の本質と言える。構造的にも特徴的なのは、等間隔に現れる木柱の存在です。これは単なる支持体ではなく、空間にリズムと人のスケールを与える措置として機能している。広がりすぎない安心感と、視線の抜けによる開放性。そのバランスが、「気軽に来られるが、どこか特別」という感覚を生み出している。「SunSan」という名称に込められた、“太陽=母”というイメージもまた、建築的に丁寧に読み替えられている。さんさんと降り注ぐ光のように、強すぎず、しかし確実に空間を包み込む光環境。訪れた人が自然と肩の力を抜き、誰かに優しくなれるような空気感は、意匠ではなく環境として設計されている。商業施設において「売ること」は前提である。しかし本計画では、その手前にある「どう在るか」が徹底して問われている。スタッフが心地よく働けること、その状態がそのまま接客ににじみ出ること、そして訪れたお客様が来店時よりも少し元気になって退店していくこと。建築はその連鎖を支える“器”として、過不足なく、しかし確かな意思をもって存在している。
- Theme Organic Market SunSan
- Category 店舗・オフィス
- Location 新潟市中央区女池
- Floor 食品売場+カフェスペース+厨房+事務室
- Structure 木造1階建て
- Total area 276.89㎡


























