建築事例
築50年以上の古民家を再生した店舗併用住宅
クライアントが購入したのは、築50年以上が経過している100坪程度の大きな古民家だった。リノベーションの計画に慣れている私たちの感覚でも、初見の印象は「随分と古く、そして傷んでいる・・・これは手強そうだ・・・」というものだった。1945年から旧堀之内町で写真スタジオを経営しているPhoto Studio SAKIHAMAは創業81年目を迎えた現在は3代目の当主がスタジオを営んでいる。老舗中の老舗である。クライアントからは、これからの未来も見据え魚沼市以外からも集客したいので、国道沿いで際立つ存在になりたいと要望されていた。1Fに撮影スタジオ、2Fにオフィスと当主の自宅を設けるという計画のもと、スタジオでは1日に数組を撮影したいという条件もあり、写真撮影時の流れ、つまり、メイク・お着替え→撮影→写真のセレクトというフローが円滑に回るように平面計画を工夫した。リノベーションでは、既存の構造に極力負荷をかけずに平面のアップデートをすることが必要になるが、100坪を超える大きな建物に比して、抜き取った柱はわずか5本であるにも関わらず、改修前とは見違える機能的なスタジオとなった。完成した新社屋は、もとの古民家のネガティブな要素を一切感じることなく、スタジオ、オフィス、自宅と、どの空間も美しく機能的にまとまっており、近隣の方々がリノベーションではなく、建替えたと勘違いするほどである。 Photo Studio SAKIHAMAが標榜する<写真は未来へのプレゼント>というコンセプトを建築デザインでバックアップできたのではないだろうか。
Shop / Office - 2025.11.23View More
築50年以上の倉庫を活用したリノベーションオフィス
防水メーカーとして全国展開する企業から、既存倉庫を活用したオフィスのデザインを依頼されたプロジェクト。建物中央のシャッターを開けるとエイジングの効いた鉄骨造のダイナミックな吹抜け空間が広がり、吹抜けを挟んだ左右には、ガラスとハードボードを市松にパターン化した事務所棟と作業棟を配置している。新旧の素材が互いに遠慮なく接することで、リノベーションプロジェクトならではの魅力が作られている。社屋のリニューアルは企業のリブランド(ブランド再生)に繋がり、既存スタッフのモチベーション向上や生産性の向上はもとより、新規スタッフの雇用創出にも繋がる好循環が生まれ、費用対効果も大きいと言える。効果の曖昧な求人募集に費用をかけるよりも、オフィス環境を整えることに投資することを推奨したい。
Shop / Office - 2025.07.03View More
廃墟をコンセプトにした古着屋
ブランド物の古着を中心に扱う、アパレルショップのリニューアルを依頼された。クライアントと<廃墟> <元の建物の痕跡を残す> <白く塗りつぶす>という3つのテーマを共有しながらデザインを進めた。改装前の売り場面積は10㎡ほどと、極めてコンパクトなショップであったが、間口の幅を変えずに奥行方向に7.5mほど延ばすことで、約30㎡まで売り場面積を拡大した。今回拡大した20㎡部分は、老人が永いこと生活を営んでおり、和室の空間には神棚や長押、京壁仕上の壁面などの設えにより昭和の雰囲気が色濃く残っていた。単純に<元の建物の痕跡を残す>というテーマに基づくと、奥の20㎡の昭和ゾーンと手前の10㎡の当初からのショップゾーンに分かれてしまい、接続部分でとてもちぐはぐな印象になる。しかし、全体を<白く塗りつぶす>という作業と、店の奥から手前まで連続させたライン照明によって、異なる雰囲気の空間をシームレスに連続させることが出来た。また洋服をディスプレイするパイプなども、あえて建設現場で使われる単管やクランプなどの仮設部材を使用することで、天井のデッキプレートや、壁面のモルタルなど、その他のラフな素材と相まって<廃墟>の雰囲気を上手く作ることが出来た。独特の感性を持つクライアントに相応しい、唯一無二の古着屋が実現できた。
Shop / Office - 2023.10.05View More
鉄骨の構造美を空間表現に活用する商業施設プロジェクト
新潟市中央区の空きテナントリノベーションプロジェクト。隠ぺいされ、長年その魅力を封印していた鉄骨造の架構。これを表出させることで、デザインに力強くストイックな雰囲気を付与し、凡庸でない魅力的な店舗空間を創造。鉄骨を覆い隠していた仕上げを撤去し、断熱性能を損なわない程度に鉄骨の架構を表出させた。また架構には黒の塗装を施すことで存在を際立たせ、構造美を空間デザインに落とし込んでいる。勾配天井でつながる2階の部屋には開口部を設け、1階メインフロアとの連続感を作り出し、空間の広がりや来客の期待感を作り出すことに成功している。内部の仕上げに用いられたのは、モルタルや木材、木毛セメント板などの古典的な素材で、黒い鉄骨とのバランスや相性もよく、新建材では作り出せない古い倉庫のような雰囲気を形成している。
Shop / Office - 2022.12.26View More
再生建材を活用したサステナブルなオフィス
アプリ開発を行う企業から、新規雇用の促進とスタッフの業務効率化を目的としたオフィス改装を依頼された。築年数の経過した既存のオフィスは竣工当時の面影を多く残し、意匠的に工夫のないデザインと凡庸なレイアウトで、就職希望者が働きたいというモチベーション喚起につながらない状態であった。オフィスの快適性やデザイン性は就職の志望動機としては十分なものだが、限られたコストの中、最高のパフォーマンスを発揮し既存オフィスを劇的に変えるよう工夫を凝らした。レイアウト面では具体的に、応接室と執務室の完全分離を図り、それぞれの部屋の独立性を高めることで各室毎の使い勝手を向上した。また執務室ではデスクを壁面向き配置にすることで個人のパーソナルスペースを形成し、業務への集中力を高めることに成功している。デザイン面ではエントランスから執務室まで、再生建材による一貫した素材のシークエンスを作り出し、華美ではない、サステナブルで現代的なオフィスデザインとしている。可変性の高い空間を作り出すことで、激しい時代の変化に柔軟に対応し、ニーズとともに成長していくオフィスが実現できた。
Shop / Office - 2022.09.17View More